コラム 『巨匠と無明』

『巨匠と無明』

学生時代に、上野でピカソ展を観たことがあった。
『膝をかかえるジャクリーヌ』という作品が印象に残っている。
ジャクリーヌという女性が、体育座りしている作品である。

私は、彼女の表情に、怒りを通り越した、あきらめに近いものを感じた。
もう何を言っても、ききいれてくれない怒りである。

しかし、同時に、
ここまで怒らせても、彼女は、俺とは離れられないという
ピカソの傲慢も絵から伝わってくる。

小林秀雄という評論家が、数学者岡潔との対談で語った一節。

(引用はじめ)

小林:・・・ピカソという人は、仏教の方でいう無明を描く達人であるということをお書きになっていましたね。
・・・ピカソの絵ですから、男か女かわからない。・・・いかにもいやな会話を二人がしているんですな。

(引用終わり)

この一節を読んで、なぜ、あの作品が印象に残ったのか謎が解けた。

ピカソは、泣いている女性を書くのが好みだったようで
泣きわめいて、グチャグチャになった女性の表情を
キュビスムという、遠近法を崩して、立体を強調した画法で、執拗に描いている。

代表作に『泣く女』という作品があるが、100以上の泣く女を描いているという。

ピカソの描く女性は、女性に対して容赦がない。

数学者の岡潔は、ピカソの絵を
『無明』(智慧のない真っ暗な状態)と評した。

ピカソの描く女性には、女性の精神まで支配せんという『無明』がみなぎっている。

ピカソが、泣いている女性に欲情したのかは、わからないが、
多分そうでもなければ、泣いている女性の絵を何枚も描かないだろう。

人間精神としては愚劣である。

ルノワールの描くふくよかな女性と比べれば
ピカソのキュビスムへのこだわりは、病的だとも言える。

山でも描いていればいいのにと思うが、泣いている女性に執着があったようだ。

泣いている女性を観察して、何枚も絵をかける神経の太さを

現代の巨匠として祭り上げている。

そして、その絵は、高値で売れる。

ピカソの愛した女性のうち二人が自殺、一人は修道院に入った。

(終わり)

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