コラム 「罪と罰 カテリーナ」

ソーニャの継母であるカテリーナは、とにかく潔癖症である。

パンの耳すら買えない極貧生活の中でも、毎日の洗濯を欠かさない。

潔癖であることが、彼女の最後の自尊心であるかのようである。

 

結核を患っているので、からだじゅう振り絞って咳き込み

青白い顔に、赤い斑点が浮かび上がる。

 

極貧生活の中で、神経が過敏になり、よい家柄に生まれ転落した

自分の運命を弁解するかのように人に語るのが日課だ。

 

彼女は、少女時代に県知事の前でヴェールをまとって優雅に踊って、

賞賛のまとになったことを誇りにしている。

 

過去の栄光を繰り言のように語り、

ときおり激高して人に当たり散らす以外は

ぼーとして、抜け殻のようになっている。

 

子どもたちは、母の狂気の発作を恐れ、部屋の隅お腹をすかせてへたりこんでいる。

 

アルコール中毒で、たびたび生活費を持って蒸発していた、夫、マルメラードフが

往来で馬車に轢かれて死んだあと、

お金の工面がついた彼女は盛大なお斎(とき)を計画する。

 

豪華な食事を用意して、同じアパートの住人を呼び

年金をもらったら、寄宿学校を作り良家の子女にフランス語を教える計画など

明らかな妄想を、彼女は興奮して語り続けた。

 

通夜躁(そう)という言葉があるが、まさしく躁状態だった。

 

しかし、その席で、継子で、売春婦として働き一家の生活費を稼いでいるソーニャが、

近所の住人からお金を盗んだという嫌疑をうける。

 

必死になってソーニャをかばうカテリーナだったが、狡猾な住人の策略により

彼女のポケットからは、見覚えのない100ルーブル(10万円)が見つかる。

 

度重なる不幸と侮辱されて、自尊心を保てなくなった彼女は、

往来に「正義」を探しにでかける。

 

彼女の探し求める正義は、どこにもなかった。

 

彼女は、幼い子どもたちを扮装させ路上で踊らせて物乞いをしながら、

血を吐いて倒れてしまう。

 

「わたしには罪なんてないもの!

神さまはそれでなくたって許してくれるはずだわ…」

 

そうつぶやいて、彼女は気を失うように死んだ。

 

カテリーナのような転落人生は、いつの時代にも、どの国にもある。

その見本のような生涯だった。

 

(終わり)

 

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