コラム 『罪と罰 ルージンの自己欺瞞』

『ルージンの自己欺瞞』

 

ルージンは、ドーニャとの結婚が破談になった腹いせに

ソーニャを罠にはめる策略を考えだした。

 

そもそも彼は、「女性は所有物だ」と考えている卑劣な男である。

 

スヴィドリガイロフが、お世辞や暴力で女性を精神的に支配する一方で

ルージンは、お金と法律で女性をものとして所有しようとする。

 

スヴィドリガイロフがドーニャに求めたのは、

彼女の純白のバラのような精神的な気高さであった。

 

潔癖な精神を踏みにじりたいという支配欲が、彼をかきたてた。

 

しかし、ルージンは、ただ単に自分の虚栄心を満足させるために

ドーニャを所有しようとした。

 

彼は、婚約者が何を考えていて、どんな希望を抱いているかには無関心である。

関心があったのは、婚約者が若くて美しくて、知的で、

なおかつすぐ所有できるほど貧しかったという条件だけだ。

 

つまりは、ドーニャは、ルージンにとってお買い得な掘り出し物だったのだ。

 

そんなお買い得感だけで、ルージンは彼女に執着した。

 

ルージンは、拝金主義者のうえ法律に明るいので、所有の観念が発達している。

 

お金と法律がこの世を支配していることをよく勉強している。

 

しかし、頭がはたらくわりに彼は子供っぽい人物だ。

 

おもちゃを手に入れられずに、駄々をこねる子どものように

ルージンは、破談になった腹いせの矛先をソーニャに向ける。

 

法事に臨むソーニャに窃盗の濡れ衣を着せて、彼女の人間としての尊厳の

最後のひとかけらまで残酷に踏みにじろうとした。

 

ラスコーリニコフへの復讐心だけで、罪深い芝居を打ったものだ。

 

今の世の中にも、お金と法律だけで世の中がすべてを所有できると

信じて、醜いエゴをふりかざす人はたくさんいる。

 

ルージンの策略によって、精神的なショックを受け、発狂したカテリーナも

よく考えれば、ルージンとそっくりな人物である。

 

彼女も、虚栄心と自己欺瞞で世の中を歪めて生きていた。

彼らのような人格破綻者に包囲され、傷つけられていたソーニャは

自らの尊厳を守るために、やはり狂信者になるしかなかったのだ。

 

(終わり)

 

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