コラム 『シンクロナイズ de 自己欺瞞』 

『シンクロナイズ de 自己欺瞞』

誰しも自己欺瞞を免れないというのが、私の持論である。

日本人集団特有の現象、「空気を読む」、いわゆる「同調圧力」というのは、

「自分の自己欺瞞と、他人の自己欺瞞がシンクロした状態」を指すのだと

私は主張するのである。

 

例えば、ある女子高生が、試験前日に「全然勉強していないよ」と、

仲良しグループの友だちに、ウソをつく。

その友だちも「勉強していない」と、ウソをつく。

 

なぜなら、前日に必死に試験勉強しているのバレると、

「カッコ悪い」という自己欺瞞が、あるからである。

 

その空気が、クラスのとある女子のグループに共有されていれば、

自分にウソをつけない、正直な女子高生は、そのなかで浮いてしまう。

 

次には、グループの自己欺瞞が、深まりながら肥大するプロセスが現れる。

すなわち、みんなで連携して、彼女の試験勉強の足を引っ張るのだ。

 

ターゲットに、無意味に電話をかけたり、「もう寝た?」と、メールしたりして邪魔するのだ。

彼女は、仲間はずれにされる恐怖から、自分にウソついて、試験勉強をやめてしまう。

 

そして、彼女がやる気を失った夜中から、みなが徹夜で試験勉強をはじめるのだ。

 

こうなると、手遅れだ。最後尾で、彼女だけが、いじめられる理由を背負わされる。
彼女が、そのグループから離れるか、みんなが他のターゲットを見つけるまで、

溺れるような息苦しさの中で、必死に、シンクロナイズ de 自己欺瞞である。

 

この同調圧力に、教師、父兄、教育委員会の

「ことなかれ主義」と「隠蔽体質」と「責任のなすりつけ合い」という

自己欺瞞がシンクロすれば、ついていけずに溺死する子どもも現れる。

 

パワハラ、セクハラも同じく自己欺瞞の問題だ。

 

シンクロした組織的な自己欺瞞に対して、個人では戦いようがない。

最初から白旗である。

だから、賢明な人ほど、しっかり空気を読んで、はしっこのほうで

自己欺瞞のシンクロナイズドスイミングを演じるふりをする。

 

つまりは、勤勉でおとなしい日本人を演じるのだ。

ああ、自己欺瞞!!

(終わり)

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